ノミナル・クォート(名目気配値)とは、マーケットメイカーが提示する証券価値の目安となる仮定の価格を指します。特定の価格での売買を約束する確定気配値(ファーム・クォート)とは異なり、ノミナル・クォートには拘束力がなく、直ちに取引を執行することはできません。これらの気配値は、市場環境や資産評価の目安を提供することのみを目的としています。
マーケットメイカーは、過去のデータや理論的な価格モデルを参照してこれらの数値を算出します。実際の売買注文ではないため、トレーダーが実行不可能であることを理解できるよう、「FYI(参考情報)」や「FVO(評価目的のみ)」といった接頭辞が付けられることが一般的です。取引規制では、確定した執行可能な価格と混同されないよう、これらの気配値をノミナル(名目)であると明確に識別することが義務付けられています。
こうした気配値は、証拠金口座における担保価値を追跡する必要があるトレーダーや、デリバティブ・外国為替市場で活動するトレーダーにとって特に有用です。例えば、FXトレーダーがマーケットメイカーからインディカティブ・クォート(参考気配値)を受け取り、通貨ペアの現在の市場センチメントを把握するケースなどが挙げられます。これにより、トレーダーは正式な注文を出す前に、潜在的な取引コストを見積もることが可能になります。