不可抗力(フォース・マジュール)とは、予見不可能かつ回避不可能な異常事態が発生し、契約上の義務を履行できなくなった場合に、当事者をその義務から免除する契約条項です。これは法的保護の役割を果たし、当事者の過失や帰責事由によらず、完全に制御不能な状況が原因で履行ができなかった場合に、債務不履行責任を回避することを可能にします。
この条項は、ハリケーン、地震、洪水などの自然災害や、武力紛争、パンデミックといった人為的な危機など、発動要件となる事象の種類を明示することで機能します。裁判所はこうした条項を厳格に解釈する傾向があるため、条項の文言は具体的である必要があります。単なる困難や経済的な不合理性は、通常、この条項を援用する理由としては不十分であり、履行が直接的に不可能となる事態でなければなりません。
例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下では、多くの企業が政府による営業停止命令を受け、事業運営が不可能となりました。パンデミックや自然災害を明示的に含む契約においては、裁判所は当事者が不可抗力条項を用いて賃貸借契約やサービス提供義務の不履行を免責することを認めました。これは、外部的な大災害が予期せぬ事業中断をもたらした際に、こうした条項がいかに必要な柔軟性を提供するかを示す好例です。